
並行して受けることもある?矯正治療と歯周病治療
歯周病が進行すると矯正が必要になることも
矯正治療とは、乱れた歯並びを整えるための治療です。歯並びが乱れてしまう原因には様々なものがありますが、その主要な原因の一つが歯周病。歯周病が悪化して歯槽骨(歯の根を支えている骨)が溶けてしまい、徐々に歯が移動するなどして歯並びが悪くなっていく、という症状です。そのまま歯周病を放置していると、以下でご紹介する「歯周病と矯正の並行治療」が必要となります。
矯正と歯周病の並行治療の流れ
歯周病によって歯が移動した場合の矯正治療について、以下2つの症例で治療の流れを見てみましょう。
症例1:歯周病で歯が陥没してしまった場合
歯周病が原因となり、歯槽骨(歯の根を支えている顎の骨)が溶けて歯が陥没してしまった症状です。
治療の流れ
陥没した歯を含め、並びの数本の歯にブラケットとワイヤーを装着して部分矯正。これにより陥没した歯が少しずつ上に引き上げられ、かつ歯槽骨も同時に上へと引き上げられます。
症例2:歯周病で歯が傾いてしまった場合
抜歯して放置していた場所へ、歯周病が悪化した歯が徐々に傾いていく症例。歯槽骨の溶解を併発していることもあります。
治療の流れ
傾いた歯を元の姿勢に戻す要領で、並びの歯の力を借りてブラケットとワイヤーで部分矯正します。これにより傾いた歯は徐々にタテの姿勢に改善。歯が起き上がるとともに、歯槽骨の状態も改善していきます。
なお矯正後には、ふたたび歯が傾いてこないよう、抜歯した部分をインプラントやブリッジ、入れ歯などで埋めるべきでしょう。
並行治療ではなく、先に歯周病を治療したほうが良い
歯周病を発症した歯は、強い力が加わることにより、歯周病の進行が早まると考えられています。言うまでもなく矯正装置による牽引力は、歯に対する強い力。歯周病で移動した歯を矯正で戻すことが、かえって歯周病を悪化させることにもなりかねないことに、歯科医師は注意しなければなりません。
歯周病が原因で矯正治療を行う場合には、それぞれの治療を並行して行うのではなく、まずは歯周病を治してから矯正治療を行う、という順番が理想。やむを得ない特別な事情がない限り、歯周病治療と矯正治療は並行して行われるべきではありません。